電線を古い鉄塔から新しい鉄塔に移す作業中です。
そして昨日、架線工事が完了しました。
次は、役目を終えた古い鉄塔の解体です。
先週6日月曜日から11日土曜日は社会人1年目の新入社員に舞い戻った1週間でした。
当然 私は現在42歳の中年のおじさんですから20代前半のフレッシュさはありません。
なぜ 私が新入社員に戻れたのでしょうか。
大学卒業後、私は架空送電線工事の施工管理技術者として社会人生活をスタートさせました。
当時 右も左も分からない私の周囲には、「すっごく厳しく」、「すっごく温かい」私に教えをいただける方々達がいらっしゃいました。
会社の先輩はもちろん、それ以上に協力会社の方々とはさらに多くの時間を共にさせていただきました。
協力会社の中でも、主に架線工事(電線を架設する工事)を担う方々と共に過ごした時間によって、現在の私の仕事に対する価値観が形成されたと確信しています。
大阪の会社を退職し、岐阜に戻る事になった際、その協力会社さんからいただいたご恩に対し、感極まってしまい、「このご恩は一生忘れません。必ず皆さんに恥じぬ様 頑張ります!」と泣きじゃくってしまった十数年前がつい先日の様に思い出されます。
その時の私にも笑いながら「何だお前泣いてるのか~ 一生の別れじゃない いつだってお前が困ってりゃー駆けつけてやるから 連絡してこい!」と背中を押し送出してくれた恩人達
その恩人達が十数年の時を経て
先週月曜日から本当に私を助けに来てくれたのです!
私にとっては一生頭の上がらない恩人達が、若い社員さん達を引き連れて私の現場に助けに来ていただけました。
十数年経ってるはずなのに、私もそれなりに経験を積んできたつもりなのに。。。。 やはり皆さんの前ではいつまで経っても新入社員のままの私がいました。
人と人とのご縁に感謝し、今どき流行らない古い人間かも私はいつまでも、人と人との心の繋がりを大切にしていきたい人間です。
「義理」や「人情」、「恩」に熱いこの架空送電線工事業界が私は大好きです。
自分が生粋のラインマンである事を改めて実感するとともに、
毎日ワクワクしながら現場に向かった新入社員時代を思い出せた幸せな時間を過ごすことが出来ました。
そして改めて誓いたい
「必ずこの架空送電線工事業界を憧れ、憧れられる業界にする為に走り続ける事を!」
やっぱりラインマンって最高です! 心から感謝
中部電気工業(株) 代表取締役 谷 真孝
昼休みになり、作業が終わったのを見計らって結界入りしました。
「結界」とは鉄塔の4本の支柱に囲まれた場所を指し、鉄塔愛好家が聖域と呼ぶ場所です。
新しい送電鉄塔の中に、古い鉄塔とクライミングクレーンCT-36も入っている貴重な1枚。
先週(水)は、社長と一緒に現場へ。ここは2年前に基礎工事をしていたころに見学に来た場所ですが、基礎工事と組立工事では雰囲気が違うので、違う場所に来た感じがしました。
新しい鉄塔にすっぽり包まれた古い鉄塔。太くて頑丈な主柱になりました。
さて、ここで問題です。
「鉄塔の耐用年数」はどれくらいでしょう?
答えは 50年
※国税庁HP 耐用年数の適用等に関する取扱通達の付表
付表4:電気業の構築物(総合償却資産であるものに限る。)の細目と個別耐用年数より
耐用年数が経過してしまった鉄塔は全国に約3万基あります。全国にある鉄塔は約24万基あるので、このうち8分の1は建替え工事の対象となっています。
そして、全国にある送電線の長さは約9万km。これは地球を2周するほどの長さです。ちなみに送電線の耐用年数は40年ですが、傷つくこともあるので40年ももたないこともあります。
そして、送電線工事の技術員(施工管理をする元請け会社の社員数)が全国に約3,800人、鉄塔の組立工事や架線工事をする高所作業員は全国に約5,500人います(2016年10月現在/一般社団法人 送電線建設技術研究会調べ)。
鉄塔 約43基
送電線 約16km
これは作業員1人が守らなければならないインフラです。
その作業員も高齢化しつつあり、送電線業界では技術の継承、新規技術者の育成が大きな課題となっています。
大変な仕事ですが、その分、鉄塔が完成した時の達成感は大きいそうです。
「自分で自分を褒めたくなる瞬間だよ」
新しい鉄塔を観て、社長がつぶやきました。
青空と紅葉しつつある山を背景にした新鉄塔は輝きを増し、それを眺める社長の表情もいつもより輝いて見えました。